さくら前線を追い越して

那須高原から東北自動車道を北上し宮城で追いついた桜前線を岩手で追い越しました。

山間の温泉宿を後にして程なく現れた崖に食い込む朱塗りの大きな社殿を好奇心旺盛な野次馬達は、見過ごしませんでした。

 

清水の舞台を模した毘沙門堂、北限と言われる磨崖仏は臼杵のそれを彷彿とさせます。

それらに勝るとも劣らない枝垂れ桜は、ほころび始めでした。

 

 

  

 

 

義経終焉の高館から眺める北上川、左から合流する衣川、奥には束稲山とその山肌に大文字が見えます。

 

義経の北帰行伝説に夢を馳せつつも、覚悟を決めて眺めたであろう景色にしばし思いを寄せました。 「夏草や兵どもが夢の跡」

 

中尊寺の周辺は、満開の桜でした。

 

旅の楽しみは、温泉、景色、食事といろいろですが、人間ウオッチもその一つです。 

ふと目にした食後の御婦人、じっと空を見上げて目を閉じて顔の前にしっかりと手を合わせていました。 

 

生きとし生けるものの宿命とはいえ糧として命を頂いたことに深く感謝しているにちがいない。

神々しささえ浮かべる風情にこれほど敬虔な御婦人もいるものかとしばし目を止めていました。

 

関心しきりのその刹那、合わせた両手を手前に少し開くと大きく息を吸って「ハックション」・・・。

花(鼻)ちらしの風になりました。

 

離れて暮らす孫たちにもらった元気をさらに大きく膨らませた楽しい旅でした。